冠 OLYMPIC GAMES |沢木 耕太郎

冠 OLYMPIC GAMES冠 OLYMPIC GAMES
沢木 耕太郎
朝日新聞社 刊
発売日 2004-01-17



なぜ今アトランタ五輪なのか? 2004-02-09
なぜ今アトランタオリンピックについての本を出版するんだろう?シドニーオリンピックじゃないの?という疑問を私は抱いたが読み進むうちに、いや、やはりこのタイミングに意味があることを納得した。沢木氏はギリシャのオリンピアを訪ね、1200年も続いた4年に一度の古代オリンピックがなぜ滅びたかについて思いを馳せる。そして近代オリンピックが古代オリンピックの10倍のスピードでその滅びの道をたどっているのではないかと危惧する。特にロサンゼルス五輪以降、オリンピックの商業化が急激に進んでいることへの嘆き。オリンピックにおける柔道が「ジュードー」になって本来の柔道から遠く離れたものになってきていて、また無能な審判にメダルの行方を左右されるようになっていること(シドニーではもっとひどくなり、篠原の受けた屈辱を我々は見ることになる)バスケットのドリームチームなど。沢木氏の五輪の将来への不安が現実となっていることをシドニー大会を見た我々は知っている。そして、たぶん今年のアテネはもっとひどくなるだろう。沢木氏は「オリンピック 冠」と同時に「ワールドカップ 杯」も出版しているが、両方を読んだほとんどの人がオリンピックよりワールドカップの方が数倍面白いイベントだと感じたと思う。また、有森裕子がマラソンで3位になった時、まるで優勝したかのように喜んでいたことへの沢木氏の覚えた「苛立ち」「違和感」は、私もTVを見ていて感じたことを思い出した。

古びないアトランタオリンピック観戦記 2004-01-24
「オリンピア ナチスの森」のあとがきで沢木耕太郎は「オリンピア3部作を構想している。次はアトランタオリンピックを舞台にするだろう」と言っている。それから数年。パタリと全く音沙汰がなかったが、今回日韓ワールドカップ観戦記と対になって本書が刊行されるとは思いも寄らなかったので正直驚いた。沢木耕太郎は自分のポリシーを貫く人である。「深夜特急」で身に付けた旅のスタイルを今回も踏襲している。目的地に着いた。「さて、これからどうしようか?」という独白を聞くとこれから何が起こり、始まるのだろうと心が騒ぐ。サマランチIOC元会長が推し進めた過度の商業至上主義に危機感を抱きながら、オリンピックの日々を渡り歩く沢木の視線は辛らつである。沢木が提出する問題提起は、そのまま今年開催されるアテネオリンピックに通ずるものがあるだろう。そういう観点から本書を読むと、遠い昔のオリンピック観戦記に過ぎないとは思わない。現代オリンピックへの悲痛な警告として受け取ることができるからだ。


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posted by olympia at 23:11 | 書籍
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